戦後の住宅政策を転換。住生活基本法で高木陽介・党国土交通部会長代理に聞く


多様なライフスタイルに対応
量から質へ 国など安全確保の責任明記
『公明、長年の主張(法案提出8回)実る』

 戦後の住宅政策を量の確保から質の向上へと根本的に転換する住生活基本法が6月に施行され、同法に基づき今後10年間の目標数値を設定した「住生活基本計画」づくりが進められている。そこで、公明党の高木陽介・党国土交通部会長代理(衆院議員)に住生活基本法について聞いた。

??住生活基本法とはどのような法律か。

 高木 住生活基本法とは、住生活の安定確保と「質」の向上を促進するために、今後実施される国の政策の柱となる基本理念などを定めた重要な法律です。住宅単体だけでなく、今後の住生活全般に関する議論は、この基本法に沿った形で行われます。

 基本理念として、(1)社会経済情勢の変化に的確に対応した良質な住宅の供給(2)環境との調和に配慮した良好な居住環境の形成(3)住宅購入者の利益の擁護と増進(4)低額所得者、高齢者などの居住の安定確保??など4項目を掲げています。

 基本的施策では、住宅市街地の良好な景観の形成をはじめ、住宅取引の適正化と流通の円滑化のための市場環境整備などに必要な施策を実施するとしています。質の高い住宅が高齢者や子育て世帯など広く国民に行き届くことが目標です。

 子育てを終えた夫婦二人暮らしの高齢者が広い家に住む一方で、子育て最中の家族世帯が手狭な家に住んでいるというような、住宅に関する需要と供給がうまく合致していない現象が起きていますが、こういう状況を改善させていこうということも基本理念で明確にしました。


??具体的なポイントは。

 高木 国と都道府県が耐震化やバリアフリー化、省エネルギー、住宅性能表示の実施などの数値目標を定めた住生活基本計画を策定して、住宅の「質」の向上を着実に推進します。

 国や自治体、住宅関連事業者には、住宅の安全性や品質を確保する責務があることも初めて明記しました。


??法律が制定された背景は。

 高木 これまでの日本の住宅政策は、戦後の住宅不足から「量」の確保をめざしてきました。1966年には、住宅建設計画法が制定され、5年ごとの公営・公庫・公団住宅などの建設戸数目標を位置付けた「住宅建設五カ年計画」を8次にわたって実施してきました。その結果、73年には全都道府県で初めて、住宅数が世帯数を上回りました。

 住宅の供給量はかなり充足されてきたのですが、一方で、少子高齢化、人口減少社会の到来により、子育てしやすい住宅やバリアフリー化などへの需要が高まってきました。今までの“量を増やせばよい”という政策から、質の高い住宅環境が必要だという議論が高まってきたのです。


??公明党の取り組みは。

 高木 公明党は、69年に住宅基本法案を国会に提出して以来、これまで8回にわたり法案を提出してきました。一方、04年11月には、党内に「住宅・街づくりプロジェクトチーム(座長=斉藤鉄夫衆院議員)」を発足。これまで公明党が国会に提出してきた住宅基本法案を基本にしながらも、時代状況の変化に柔軟に対応できる法律にするために、議論を積み重ねてきました。そして、こうした議論を通して出てきた党の方針は、住宅政策を国家戦略と位置付けた基本法を早急に制定すべきだというものでした。


??今後の課題は。

 高木 今回成立した住宅基本法を出発点として、国民が自分のライフスタイルに合わせて住まいを選択できるようにすることが重要です。基本法の理念を具体化するため、生活者、居住者の視点から必要な法整備に取り組みます。


(2006年8月30日付 公明新聞)