
初めて国の総合的な海洋政策を定めた海洋基本法が、議員立法として提出され今国会で成立しました。これによって、今後、首相を本部長とする総合海洋政策本部が設けられ、海洋国家として環境や経済面などで総合的な施策が進められることになりました。そこで、海洋基本法の意義とポイント、公明党の取り組みなどについて、高野ひろし・党海洋基本法制定プロジェクトチーム座長(参院議員)に聞きました。
――なぜ、海洋基本法が必要なのですか。
高野座長 日本は海から多くの恩恵を受けている国です。食生活は海によって成り立っているといっても過言ではありません。海に囲まれた日本の排他的経済水域(EEZ=天然資源の探査・開発・保存など特定事項に限って日本の法令を適用できる海域)の広さは世界第6位で、まさに海洋大国です。しかし、これまでの日本は、海の環境保全などの海洋政策を重視してきませんでした。
一方で世界的には、マグロなどの水産資源だけでなく、膨大な海底鉱物資源への関心も高まりつつあります。そこで、「日本は海洋国家である」という認識に立って、海を知り、守り、利用するための基本法が必要ではないかと考えました。
――同基本法の目的とポイントは。
高野 基本法の目的は海洋環境の保全や海上交通の安全確保に加え、水産資源や鉱物資源の持続的な利用・開発を推進するための具体的な施策を示すことです。
海洋政策については、(1)開発・利用と環境保全との調和(2)海洋の安全確保(3)科学的知見の充実(4)海洋産業の健全発展(5)海洋の総合的管理(6)国際的調和――といった基本理念を定めたことが大きな特徴です。
さらに、海洋政策を専門的に担う海洋担当大臣を設置。首相を本部長とする総合海洋政策本部を内閣に置き、国として海を管理する体制を整備します。また、海洋に関する施策を総合的かつ計画的に進めるために「海洋基本計画」を策定します。海に関する情勢の変化に合わせて、計画は5年ごとに見直します。
――なぜ、今まで基本法は、つくられていなかったのですか。
高野 縦割り行政の影響で、「海を国全体の観点で総合的に管理する」という発想がなかったからです。それぞれの省庁が担当の範囲内でしか考えず、横の連携を取らずに施策を行ってきました。
また、以前から国連海洋法条約はありましたが、同条約に基づいた国内法は整備されていませんでした。
海洋開発は、世界的に見ても相当進んでおり、しっかりとした戦略を持っている国もあります。そういう意味では日本は遅れていると言わざるを得ません。
――日本近海の海底には大量の鉱物資源が存在しているとされますが。
高野 水産資源や海底資源を調査・研究して、どのように利用していくかは非常に重要な問題です。
日本近海にはコバルト、白金、銅、金、銀など多くの金属資源が存在しており、中には世界一の埋蔵量の鉱物資源もあるといわれています。金にいたってはかなりの量が存在すると指摘されています。
日本は国土が狭く、天然資源も乏しい国だとされてきましたが、海に目を向ければ豊富な天然資源を有しているのです。
現在、世界的に金属資源が不足しています。急速な経済成長を背景に、中国やインド、ブラジル、ロシアでの金属消費が急激に伸びているからです。また、石油をはじめとした鉱物資源の不足を背景に資源ナショナリズムが高まり、資源獲得競争が激しさを増しています。日本も将来にわたって安定的に鉱物資源を利用できる環境を急いで整備しなければなりません。
海洋資源の開発においては、環境を保全するということは大前提です。そこを外してはいけません。環境保全と経済開発を両立することが重要です。
――公明党の主張は基本法にどのように反映されましたか。
高野 公明党は国益を追求するという狭い考え方ではなく、国際的な利益と、海と人類の共生や、環境と経済の両立という概念を反映すべきだと主張してきました。具体的な問題では、全国で海岸浸食が進んでいる事態を重く受け止め、海岸の保全を主張し盛り込まれています。
(2007年5月2日付 公明新聞)