
盲導犬や介助犬など補助犬の民間の職場への受け入れを義務化する「改正身体障害者補助犬法」が11月28日、参院本会議で全会一致で可決、成立しました。補助犬法の成立、改正を推進してきた超党派の国会議員による「身体障害者補助犬を推進する議員の会」の上田勇幹事長(公明党衆院議員)に改正のポイント、今後の課題などを聞きました。
都道府県に相談窓口設置。民間住宅の確保策も盛る
――今回改正になった「身体障害者補助犬法」(補助犬法)が成立したのは2002年でした。同法によって補助犬の社会的地位が大きく改善されました。
上田勇衆院議員 まず、盲導犬のほか、肢体不自由者を支える介助犬、聴覚障害者を支える聴導犬の3種類の犬を称して補助犬と言います。
日本では盲導犬が社会的に広く認知されてきました。道路交通法にも規定されており、バスや航空機にも搭乗が認められています。
しかし、介助犬や聴導犬は歴史が浅く、法的にも認知されていませんでした。このため、一般の交通機関に同乗しようとしても、一緒に宿泊施設を利用しようとしても、単なる“ペット”として扱われ、利用を断られる例が少なくありませんでした。
また、介助犬や聴導犬の育成についても、育成する団体によって基準がまちまちで、どの程度の能力があれば身体障害者を助けられるのか、使用する側にとっても不安がありました。
そこで、補助犬の利用者や関係団体の意見を聞きながら「議員の会」が中心となってまとめ、02年5月に成立したのが「身体障害者補助犬法」です。
この法制化によって、介助犬や聴導犬についても、厚生労働大臣が指定した機関で必要な能力があるかどうかを審査し認定していく基準が明確になりました。そして、認定された補助犬については、公共施設や交通機関での受け入れが義務化されたわけです。翌03年10月からは、レストランやスーパーマーケット、ホテルなど不特定多数の人が利用する施設への同伴もできるようになりました。
――補助犬法には、見直し規定があり、今回の改正はそれを受けての改正ですね。改正のポイントは。
上田 最初の補助犬法は、まず補助犬を社会的に認知させ、法的な立場を明確にする、ということが主眼でした。この法案は、日本よりも補助犬が普及している欧米に比べても画期的なものでした。
しかし、一気に法制化できない部分もありました。その部分も含め、3年後に見直そうということにしたのです。
具体的には、補助犬の使用者の切実な問題として、職場への同伴、一緒に住める民間住居の確保などの問題がありました。補助犬法では、その部分は、民間の企業や賃貸住宅に関して、「身体障害者補助犬を使用することを拒まないよう努めなければならない」との努力義務を規定するにとどまっていました。
今回、その部分を「なんとか前進できないか」と、厚生労働省をはじめ、さまざまな行政の部局、関係団体と協議を重ねてきました。その結果、障害者の雇用を義務づけられている事業所(従業員56人以上の事業所)での受け入れを義務化しました。また、住居については、「住宅セーフティネット法」の枠組みの中で、行政の責務として住宅を確保すべき対象に、「補助犬使用者を含む」と明記しました。
さらに、これも使用者から声が寄せられていた、職場、住宅の問題などで、補助犬をめぐりトラブルが生じた場合の相談窓口を都道府県に設置することにしました。
公明が国会で初めて取り上げ、地方議会でも推進
――補助犬法の成立や介助犬の社会的認知の確立を常にリードしてきたのは公明党でした。
上田 今から10年前、まだ介助犬という言葉が珍しかった時に京都府議会で介助犬への支援を訴えたのは公明党の議員でした。そして翌年の1998年5月、大野由利子衆院議員(当時新党平和)が衆院議長に「『介助犬』の公的認知と普及促進に関する質問主意書」を提出したのが、この問題を国会で取り上げた最初です。その後、2000年に大野さんが厚生総括政務次官の時、厚生省(当時)内に介助犬の公的な認知と普及に向けた検討会を設け、本格的な議論が開始されました。
その間、地方議会でも公明党が中心となって介助犬に対する支援策が次々と具体化していったのです。
例えば、98年12月には兵庫県宝塚市で介助犬のハーネスト(胴輪)購入への補助が実現。99年4月、京都府が府施設への介助犬の同伴を認可。99年10月、日本介助犬アカデミーの協力で宝塚市が介助犬認定基準を策定。01年4月京都市が介助犬権育成へ助成金支給、などがあります。また、01年10月には、「法的に認知されていない」として役所への介助犬同伴出勤を認めていなかった千葉市に対し、公明議員が働きかけ、自治体として初めて同伴出勤を認めさせるといった取り組みをしてきました。
――補助犬法は改正されましたが、まだまだ課題は残されてますね。
上田 その通りです。今回の改正は「通過点」と認識しています。まだまだ整備されなくてはならない点が多くあります。
その第1は、社会に補助犬の理解を広げていくことです。職場や住宅の問題も経営者やオーナーの補助犬に対する理解が深まってくれば解決していく問題が多くあります。
また、欧米に比べ、まだまだ補助犬自体の数が少ないのが実情です。多くの障害者が自分のもとへ補助犬が来てくれることを待っています。
そこで、優秀な盲導犬や、介助犬、聴導犬が育っていく環境の整備が大切になります。育成のための財源の確保はもちろん、補助犬にさまざまな技能を教える訓練士自体が不足しており、訓練士の養成体制の確立も急がなくてはなりません。これからも、関係の団体と協力し、支援策を講じていく決意です。
(2007年12月24日付 公明新聞)