多重債務解消へ前進??国会提出された貸金業法案について、上田勇・党金融問題調査委員長・衆院議員に聞く


特例措置など削除
公明の訴えが大きく反映
 貸金業規制の強化を柱とする貸金業法案などの改正案が10月31日に閣議決定され、同日、衆院に提出されました。今回の改正で貸付制度はどう変わるのか。公明党金融問題調査委員会の上田勇委員長(衆院議員)に聞きました。
 

『グレーゾーン金利撤廃』
『上限金利引き下げ 返済能力超える貸付禁止』

??法改正の目的は。

上田 現在、消費者金融などからの借り入れによる多重債務問題が深刻化しており、多重債務者は200万人にも上るといわれています。

 このような現状を受け、多重債務問題の解決に向けた制度改正が必要だとして、弁護士や司法書士、貸金業界からの意見を聞き、政府・与党で改正案をまとめました。


??今回の改正で金利は、どう変わるのか。

上田 金利についての最大の変更点は、出資法で規定された上限金利(29・2%)を利息制限法の上限金利(15?20%)である20%にまで引き下げ、「グレーゾーン(灰色)金利」を撤廃したことです。

 グレーゾーン金利とは、出資法と利息制限法の上限金利に挟まれた金利帯で、現行法では民事上の返済義務はありませんが、借り手の同意があれば、有効と認められています。

 しかし、この金利体系は分かりにくいとの指摘があるほか、裁判でも任意性が争われる場合が多いことから、廃止することにしました。

 今回の改正で上限金利は、消費者金融が設定する貸出金利の平均を下回る水準となります。この観点から、いまだかつてない抜本的な改正案になったといえます。


??貸付額に対する規制は。

上田 多重債務の発生を未然に防ぐには、過剰な貸し付けを規制することが重要です。そこで改正案では、貸付額に上限を設けました。
 
『ヤミ金の取り締まりを強化』

 具体的には、一社からの借り入れで50万円、複数の業者からの借り入れで100万円を超える場合は、借り手の年収などを示す資料の取得を業者に義務付けています。年収の3分の1を超える貸し付けなどは、返済能力を超えるものとして原則、禁止しました。

 さらに、借り手の債務総額を把握するため、貸金業者に信用情報機関への加入を義務付けるほか、クレジットなど別の業界の信用情報機関との一元化を図ります。


??ヤミ金対策など、業界の健全性向上も課題だが。

上田 超高金利(109・5%超)の貸し付けを行うなどの違法な業者に対しては、懲役刑の引き上げなどを実施するとともに、内閣府に「多重債務問題対策本部」(仮称)を設置し、省庁横断的にヤミ金対策に取り組むことにしています。

 また、貸金業者の参入規制を厳格化することも明記していることから、業界の健全性や信頼性の向上が期待できます。


??施行時期は。

上田 上限金利の引き下げや貸出額の規制は、公布から概ね3年をメドに施行されます。

 3年は長すぎるとの指摘もありますが、信用情報機関の整備など、新制度移行に向けた準備を考えると、ある程度の期間が必要になります。


??公明党の取り組みは。

上田 公明党はこれまで、党金融問題調査委員会を中心に、多重債務解消に向けた協議を精力的に行ってきました。

『緊急の資金需要を支援へ』

 ここでの議論を踏まえ、6月にはグレーゾーン金利を撤廃することで意見が一致したとする中間整理を発表しています。政府・与党の協議で公明党は貸し渋り対策などとして少額・短期融資に限って高金利を認める特例措置や、利息制限法の上限金利区分の見直しを当初案から削除するよう求め、法案に反映させることができました。

 同時に、貸金業や金利規制の在り方は、法施行から2年半以内に必要な検討を行うことになっています。

 さらに公明党の主張により、緊急に資金が必要な利用者への支援に対して、関係省庁が連携して取り組む体制の整備を検討するとの文言も明記されました。

 今回の改正は、貸金業の在り方を大きく変え、多重債務問題の解決に貢献するものとして評価しています。


(2006年11月3日付 公明新聞)