救急患者“たらい回し”防ぐ
公明党が情報システム整備法案発表――渡辺孝男・党対策推進本部長(参院議員)に聞く


受け入れ態勢を確立
空きベッドなど即時に発信する人員配置
コーディネーター配備 救急隊員と病院を調整
党の全国調査に基づき法案化
 公明党は、各地で頻発している救急患者の“たらい回し”事件を防止するため「救急医療情報システムの整備及び適切な運用の確保等に関する法律案骨子(案)」(公明党案)を発表し、今国会への提出、成立をめざしている。そこで同法案のポイントについて、党救急医療対策推進本部の渡辺孝男本部長(参院議員)に聞いた。


――法案の狙いは何ですか。

渡辺・党救急医療対策推進本部長 救急患者の受け入れシステムをきちんと整備する法案です。最近は情報機器が進歩しており、人員を配置して、しっかり取り組めば救急患者への対応は早急に改善できます。そのシステムの整備を急ぐためには予算や制度の改善が必要です。法制化されれば各都道府県や医療機関に改善の努力や協力をお願いすることになります。


――法案のポイントは。

渡辺 総務省消防庁によると、すでに44都道府県で「救急医療情報システム」が整備されていますが、リアルタイムで救急受け入れの情報更新をしている医療機関は約1割にとどまっています。情報更新がリアルタイムにできないのは、医師が忙しく、人手が足りないのが主な原因です。

 この点を改善するため、一つは医療機関の救急患者受け入れ情報(診察の可否、空きベッドや手術準備の有無など)をリアルタイムに都道府県の「救急医療情報システム」に発信する専門の人員を配置します。「医師事務補助者」を活用することも可能です。

 二つ目は、迅速、的確な救急処置・搬送を行うため、「救急医療情報システム」に、救急隊員と医療機関を調整するコーディネーター(救急隊指導医など)を配置します。救急隊員がどの病院に搬送するか判断が難しい場合、適切な助言も行います。

 医師事務補助者は今回の診療報酬改定で配置が認められる方向ですし、コーディネーターも2008年度予算案に盛り込まれています。法案の中では、国がシステム整備や運用の一部を補助すると定めていますので、法制化されれば、“たらい回し”防止が大きく前進すると考えています。


――受け入れシステムの改善に焦点を当てた理由は。

渡辺 党救急医療対策推進本部は、昨年11月11日から12月10日にかけて、地方議員の皆さんと連携して、全国1140の2次救急病院でアンケート調査を行いました。さらに、都道府県・政令市の医師会、看護協会、消防本部など202団体からヒアリング調査も行いました。地方議員の皆さんの努力と病院関係者の協力で貴重なデータをいただいたことに心から感謝します。

 この調査結果で、救急患者を受け入れるための空床情報を消防に提供するシステムが「ない」と4割近くの病院が回答しています。そこで短期的には、救急医療の情報システム体制をしっかり確立することが最優先課題との認識で法案をまとめました。
 なお、調査結果からは勤務医などの過酷な労働実態や医師不足なども浮き彫りになりました。この医師・医療スタッフ不足に対しては公明党の推進で、08年度予算案で161億円が計上されています。ただ、こうした課題は中長期的な視点で着実に進めざるを得ません。


――調査結果を踏まえ、舛添要一厚労相、増田寛也総務相に緊急の申し入れをしましたが。

渡辺 救急患者の受け入れ態勢のシステム整備が、急ぐべき課題の一つであることを両大臣に強く要請しました。増田総務相は私たちの申し入れの翌日、消防庁長官を通し、厚生労働事務次官あてに「救急患者受け入れコーディネーターの配置」などを申し入れました。府省の垣根を越えて、公明党の要望が実現に向かっています。


――法案化に向けた今後のスケジュールは。

渡辺 公明案を基に自民党と協議し、具体的には与党プロジェクトチーム(PT)の設置を検討していきたいと思います。野党の皆さんにも協力を求め、できれば全会派一致で成立させ、実効性の高い法律をめざしたいと考えています。


――ほかにも救急医療の課題は山積しています。

渡辺 患者の迅速な搬送手段としてドクターヘリの全国配備が急がれます。ただ、ドクターヘリは現在、夜間や天候不順の時は活用できないので、欧米並みに夜間照明付きのヘリポートを整備し、夜間も運行可能な態勢づくりも急ぎたいと思います。

 さらに、救急医療機関にアクセスする道路整備を着実に進めていくことも、搬送時間の短縮に直結する重要な課題です。

 公明党は患者“たらい回し”による痛ましい事故を二度と起こさないために、今後も安心・安全の救急医療の構築に全力を挙げていく決意です。

(2008年3月4日付 公明新聞)