
公明党は8日、防衛庁を省に移行させる「防衛庁設置法等改正案」を了承した。そこで党政調会長代理で外交安保調査会長の山口那津男参院議員にインタビューした。
??防衛庁を省に移行させる「防衛庁設置法等改正案」のポイントは。
山口那津男政調会長代理 この法律の最大のポイントは、今まで内閣府の外局であった防衛庁を、各省と横並びの防衛省に移行させることです。
防衛は外交、財政と並ぶ国の重要な基本政策ですが、わが国では所管の防衛庁は、内閣府の付置機関と位置づけられてきました。発足当時は、自衛隊が実際に行動することはあまり想定されていなかったのです。
しかし、自衛隊の任務は災害派遣、国際平和協力活動と拡大してきました。その一方で、有事法制などの法体系も整備され、シビリアン・コントロール(文民統制)の経験も重ねました。
そうした状況を踏まえ防衛庁を、重要政策を担う責任ある行政組織に移行させるのが、今回の法案の狙いです。
その背景には、国民の85%が自衛隊に好印象を持っている(本年2月世論調査)ことなど、国民の自衛隊に対する理解が進んだこともあります。
省に移行し、防衛大臣が置かれても、防衛の重要事項を決定する首相の権限は、今までと全く変わりません。
この法律のもう一つのポイントは、自衛隊が行っている国際平和協力活動、周辺事態に対応する活動を、自衛隊の本来任務として、きちんと位置付けることです。今までは、これらの活動は、自衛隊法の雑則に規定されていました。
国際平和協力活動などの本来任務化に伴って、これらの活動が、シビリアン・コントロールの要である安全保障会議(首相、外相らで構成)への諮問事項に明記されます。これも法案のポイントです。
??省移行に懸念を抱く向きもありますが。
山口 シビリアン・コントロール、専守防衛、節度ある防衛力の整備、海外派兵の禁止など、わが国の防衛政策の基本は変わりません。
庁を省にすることは、国の中央省庁における位置付けを変えるものなのです。
防衛省にすると近隣諸国が懸念を持つ、と心配する人もいますが、大切なことは、憲法に基づく専守防衛など、わが国の防衛政策の基本に変更がないことを十分に説明し、理解してもらうことだと思います。
諸外国においても、防衛を担当する行政組織は、財政、外交などの他の行政組織と同格になっており、わが国が同様の措置を取ること自体を、問題視する国はないのではないか、と考えます。
??この法案への公明党の取り組みは。
山口 まず、今回、国際平和協力活動が自衛隊の本来任務になったことは、PKO(国連平和維持活動)協力法の成立以来、公明党が、憲法の枠内で自衛隊を活用した国際貢献を地道に推進してきた結果であり、歓迎すべきことだと思っています。
今回の法案は議員立法ではなく、内閣提出法案となります。これは、「国の重要な政策を担う行政機構の改編だから、政府が責任を持って法案を提出すべきだ」との公明党の主張を受けたものです。内閣提出となったので、法案は省庁間でのさまざまな調整を経て作成されました。
省の名称は、「国防省」などではなく、公明党の主張を踏まえ、「防衛省」となりました。長く防衛庁として活動し、国民に名称が定着しているわけですし、専守防衛を明確にする意味からも、「防衛」の名称が採用されたことは、評価していいと思います。
一方、防衛施設庁の官製談合事件を受けて、その体質を問われた防衛施設庁の廃止を、公明党の主張で法案に明記させました。さらに、近年の行政改革の流れを踏まえ、「防衛省」のスリム化についても明記させています。
??今後の公明党の取り組みは。
山口 法案を了承した8日の公明党政調全体会議において神崎武法代表が確認したように、公明党は省に移行しても自衛隊の活動をあくまでも憲法9条の枠内で行います。また、集団的自衛権の行使は認めません。さらに政治の責任として、防衛省の予算の拡大には、しっかり歯止めをかけていく決意です。
一方、法案の審査に当たり公明党は、有識者の方々の見解も聞きました。その際に、市民のための自衛隊として歩んでいくために、隊員に対する民主主義教育を充実すべきとの提案がありました。公明党としては「民主主義」「多様な文化の尊重」などについて隊員教育を充実するよう取り組んでいきたいと思います。