
防衛「省」移行関連法が臨時国会で成立し、1月9日には防衛省が発足します。そこで同法の内容と省移行について公明党外交安全保障調査会長の山口なつお政調会長代理(参院議員)に聞きました。
??内閣府の外局だった防衛庁を省に移行させる理由は。
山口なつお政調会長代理 防衛庁発足のころには、自衛隊は存在そのものに意義があって、それが動くような事態になっては困るという意識がありました。
それが冷戦終結を境に大きく変わりました。まず湾岸戦争を契機に、人的な国際貢献の必要性が叫ばれ、国連平和維持活動(PKO)や国際緊急援助活動に、自衛隊が参加する仕組みが整えられました。
日本の防衛の分野でも、日米安保条約が機能するように「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」が見直されるとともに、周辺事態安全確保法が制定され、有事法制、国民保護法制が整えられました。
最近では、国連決議を受けた、テロ対策特措法、イラク人道復興支援特措法などに基づく活動も加わりました。
こうした一連の積み重ねによって、現行憲法の枠内で防衛庁・自衛隊が行うべき仕事の概要が、客観的に、法制度の面からも、実際の活動の実績からも、整いました。
この時期に、防衛庁を防衛、安全保障の責任を担う政策官庁として、福祉や財政などを担う他の役所と同格の立場に位置付ける、タイミングが来たと判断したわけです。
??同法では、国際平和協力活動などを自衛隊の「付随的任務」から「本来任務」に格上げします。
山口 国際平和協力活動には、国連平和維持活動や国際緊急援助活動、テロ特措法に基づく活動、イラク特措法に基づく活動などがあります。自衛隊が実際に行う活動の中では、災害派遣と並んで国際貢献が大きなウエートを持つし、それを日本の平和的、人道的貢献の重要な手段として活用していかなければならない。そういう観点から、国際平和協力活動を本来任務に位置付けることを、公明党は主張しました。
同時に、その国際平和協力活動が憲法の枠をはみ出さないよう、しっかり歯止めもかけなければなりません。わが国は、いかなる理由があろうと海外で武力行使をしてはならないし、集団的自衛権の行使に結びつくような任務の拡大をすべきでないことは当然です。
??そのほかに公明党の主張が反映された点は。
山口 公明党が重視したのは、「省移行をきっかけに、いたずらに防衛力を拡大させない」「今までの基本的な防衛政策を変えない」ということです。そのことは、国会審議を通じても、明確に確認されました。
それと併せて、シビリアンコントロール(文民統制=政治による軍事の統制)を強化することも重視しました。その表れとして安全保障会議(首相、外相らで構成)への諮問事項に、周辺事態、国際平和協力活動に関するものを、具体的に列記させました。
防衛政策の実施体制については、今年1月に防衛施設庁の官製談合事件が起こり、公明党は同庁の解体的出直しを主張しました。それを受けて防衛庁も、施設庁を解体し「防衛省」に統合して、再発防止と組織の効率化を図ることを決断したわけです。公明党は、そのことを法律の附則に明記させ、実施を担保しました。
『公明主張??国際貢献を本来任務化』
『文民統制強化、施設庁の解体』
??防衛省の発足で、わが国の平和国家としての在り方は変わりませんか。
山口 法律で、防衛省を防衛政策を担う中心的な責任官庁として位置付けました。しかし、その政策を実現するためには、内閣の中で外務省や他の省庁と連携・協力し、内閣という合議体の下で政府の政策決定を得ていかなければなりません。さらに、重要事項はすべて、安全保障会議の議論を経て意志決定が行われることになっています。
このようにシビリアンコントロールの枠が確実にはめられており、防衛省・自衛隊がそれらの枠をはみ出して、独自に暴走することはできない仕組みになっています。
一方、歴史的な経験を背景に、近隣国などには日本の軍事大国化への懸念もあります。これに対しては、省移行の内容を丁寧に説明を尽くす努力が必要です。また、諸外国との間で、信頼醸成のための防衛交流、防衛対話を一層進めていくべきでしょう。
??今後の防衛省・自衛隊の在り方について。
山口 民主主義国家の実力組織として、戦前の歴史の過ちを繰り返すことなく、国民の安心・安全と国際平和のために尽くす使命を、改めて隊員教育の中で徹底していく制度と工夫が必要です。ドイツをはじめ諸外国の教育課程を参考にしながら、わが国でも隊員教育の内容の充実に努めるべきだと思います。
(2006年12月27日付 公明新聞)