
6月11日に成立した改正地震防災対策特別措置法などに基づく学校耐震化推進の新制度と、実際の制度運用上の課題などについて、山口那津男政務調査会長(参院議員)に聞いた。
――新制度の内容は。
山口 公立小中学校や幼稚園の建物のうち、大きな地震で建物が倒壊する危険の高いIs値(構造耐震指標)0・3未満の建物の補強事業を行う際、国の補助率がこれまでの2分の1から3分の2になりました。
もう一つ、地方財政措置として地方債の元利償還金について地方交付税措置が今年度予算から20%に拡充。これらにより実質的な自治体負担が31・25%から13・3%と、約5分の2に減ります【図表参照】。
学校耐震化の進まない自治体の多くが、財政難を理由に挙げていました。約6割の学校耐震化率を大幅に上昇させる追い風になると確信しています。耐震化率の低い県の関係者が「これで弾みがつく」と期待を表明しているとも伺いました。
――公立校だけか。
山口 改正法には私立学校にも地震防災上の配慮をすることが明記されました。具体的な方法はこれから詰めますが、例えば、私立学校が耐震補強事業融資を受ける日本私立学校振興・共済事業団の運用資金の補助や利子補給などが考えられます。
――実際の制度運用で問題はないか。
山口 学校という性格上、工事の時期は限られ、工期も長くは取れません。文部科学省は現在、各地に担当官を派遣し、自治体と意見交換し、必要があればアドバイスする体制を取っています。また改正法では公立小中学校などの耐震診断の実施と結果の公表を市町村に義務付けました。
先の岩手・宮城内陸地震や岩手県北部沿岸地震でも学校施設に被害が出ました。中国の四川大地震では学校倒壊で多数の子どもたちが犠牲になった痛ましい報道に多くの国民が衝撃を受けました。
昨年の新潟県中越沖地震では、2004年の中越地震を機に耐震補強した校舎とそうでない校舎とでは歴然とした差が出ました。
現場ではさまざまな問題があるかもしれませんが、次代を託す子どもたちを守る国民的関心事ですし、創意工夫をこらして取り組んでほしいと思います。
――文部科学省の定めた資材などの単価と実勢価格に差があり、自治体負担が高くなるとの指摘もある。
山口 現在、文科省では、実勢価格での補助になるよう運用が改善されています。
――補助期間延長の要望もあるが。
山口 法律上の特別措置期間は2010年度までしかないため3年間の時限措置になっていますが、文科省は5年をメドに考えたいとしています。今後の耐震化進捗状況次第ではさらなる延長も検討課題となるでしょう。
――公明党はどう取り組んできたのか。
山口 党としては早くからプロジェクトチームや小委員会を設けるとともに、国会や地方議会の場でも積極的に取り組んできました。私も06年2月、参院予算委員会で耐震診断の徹底と学校耐震化の推進を当時の北側一雄国交相(公明党)らに訴えたのをはじめ、一生懸命取り組んできました。06、07年度は補正も含め計2000億円近い予算が学校耐震化対策に計上されました。
これら公明党の取り組みもあり、02年に44・5%だった公立小中学校の耐震化率は今年4月に62・3%まで上がりました。耐震診断の実施率も02年の30・5%から93・8%と飛躍的に上昇しました。
公明党は国政と地方政治のネットワークを生かし、これからも学校耐震化に全力で取り組んでいきます。
(2008年8月8日付 公明新聞)