
原油、食料品の高騰が家計や企業を直撃する中、政府・与党は29日、総合経済対策「安心実現のための緊急総合対策」を決めました。同対策には、所得税や住民税から一定額を差し引く「定額減税」など公明党の主張が随所に盛り込まれました。その背景や経緯などについて、公明党の山口那津男政務調査会長に聞きました。
『定額減税を年度内実施』
『所得の低い高齢者に給付金も』
――日本経済の現状について。
山口那津男政調会長 日本経済は今、大変厳しい状況です。このほど発表された年間のGDP(国内総生産)予測によると、実質成長率は年間でマイナス2・4%に落ち込んでいます。
8月29日に総務省が7月の全国消費者物価指数を発表しましたが、変動の激しい生鮮食品を除くと、前年同月に比べて、2・4%と急激に上昇しています。生活必需品に限れば、6%も上がっています。
一方、雇用者所得は、昨年末から、どんどん落ち込んでいます。つまり、所得が下がる中で、急激な物価高が起きています。そのギャップ(隔たり)が広がりつつあるというのが消費者の実感です。ここをきちんと見た上での経済政策が必要です。
日本では過去に、こうした状況はありませんでした。急激に物価上昇した2度のオイルショックでも、物価上昇を上回る所得の伸びがあったので、何とか生活への影響を回避できました。
物価上昇傾向が続き、所得が伸びない状況の中で、経済の落ち込みを回復し、生活者の不安を解消するには、タイムリーな経済政策を打ち出す必要があります。
――総合経済対策に反映された公明党の主張は。
山口 物価高にあえぐ国民生活の不安を少しでも和らげるため、「定額減税」が、2008年度内に実現することが確実になりました。定額減税は、一定の金額を所得税や住民税から一律に差し引くもので、より税額の低い中低所得者の方ほど恩恵が手厚いのが特徴です。
また、減税の恩恵を受けない方々への配慮も必要です。年金生活者や生活保護受給世帯の方々などに物価上昇分を上乗せ支給する仕組みをつくるべきだと訴えてきましたが、政府の総合対策には、老齢福祉年金の受給者などに対する「臨時福祉特別給付金」の実施も盛り込まれました。
いずれも単年度の措置として、規模や実施方式などは年末の税制抜本改革の議論に併せて検討します。
『公明がリードし実現へ』
『物価高対策を第1順位に』
――公明党の取り組みは。
山口 今月11日、政府・与党会議が開かれ、政府の経済対策の3本柱を決めました。そのまさに「1丁目1番地」の柱には、公明党の強い主張で「物価高等に直面する国民生活の不安を解消し」という文言が掲げられています。
実は当初、政府側から示された経済対策の3本柱を見て、私たちはがく然としました。これだけ国民が物価高に苦しんでいるのに、「物価高」との表現すらない。しかも生活者支援は3番目だったのです。
私たちは、「これではインパクトが弱すぎる。このまま政府与党の最終合意で発表するなら、かえって国民は失望する。納得できない」と強く迫り、国民生活の不安を解消することが第1順位に掲げられたのです。
――最後まで政府、自民党とギリギリの交渉が続きましたね。
山口 その後、政府の総合経済対策が大詰めを迎えていた今月28日。与党間の協議が断続的に続きましたが、自民党側は「定額減税」を盛り込むことに難色を示していました。
理由は大きく2点。「本当に効果があるのか」「なぜ行う必要があるのか」そして「税に絡む問題は、自民党税調の議論を経ずにはできない」と。 そこで、私たちは、最新の消費者物価指数は発表されていませんでしたので6月のデータを示しながら、指数が急激に上昇し続けていることや、生活必需品の価格急騰、などを強調しました。
また、「このギャップで一番先に打撃を受けているのは商店街。消費が落ち込み続ければ、商店街を取り巻く関係業界にどんどん波及する。国民の不安に応えることが、政府・与党のやるべきことだ」と自民党側を説得し続けました。
私たちのこうした訴えに、麻生太郎幹事長(自民党)はだんだん顔色を変え、前に身を乗り出して、強い関心を持つようになりました。
そして、翌29日、総合対策に「定額減税」と、減税の恩恵を受けない方々へ物価上昇分の上乗せ支給を行うための臨時福祉特別給付金の実施がセットで盛り込まれたのです。
『輸入小麦の上げ幅圧縮』
『公明の主張随所に反映/高速道料金も引き下げ』
――そのほかに盛り込まれた公明党の主張は。
山口 まず、物価そのものに対する影響を最小限に抑える対策が必要です。特に最近では、パンや麺類、お菓子など小麦に由来する製品の物価高が相次いでいます。これは、輸入小麦の政府売り渡し価格の上昇に起因するところが大きいので、引き上げ幅を圧縮するべきだと訴え、その結果、23%を10%まで圧縮しました。
また、原油高や輸入原材料の高騰に苦しむ中小企業支援策として、セーフティネット保証・貸付の強化など資金繰り対策の拡充や、原油高に伴う燃料負担の大きい運送業など特定業種への支援が強化されます。
さらに、高速道路料金を引き下げます。全国的に夜間や休日割引の対象路線が拡充されます。特に、交通量が多い、首都高速と阪神高速では、距離に応じて料金を徴収する「対距離料金制度」を導入する予定でしたが、長距離トラックなどには大きな負担となるため、延期が明記されました。
一方、70〜74歳の高齢者の医療費について、窓口での自己負担1割が継続されるほか、高齢者の就労支援として在職老齢年金制度の見直しの検討も盛り込まれました。
――財源問題について。
山口 公明党は、赤字国債の発行で財源を賄うことは避けるべきだと主張。そして、政府のさまざまな歳出について、ムダを徹底的に削る。また、特別会計から捻出するべきだと訴えてきました。
その結果、総合対策には、「これまで以上に、ムダ・ゼロ、政策の棚卸し等を徹底し、一般会計、特別会計の歳出経費の削減を通じて対応する」と明記されました。
公明党が主張する政策は、単なる経済政策というだけではなく、国民の気持ちに安心感を与えるという社会政策的な側面があり、それは政治の大事な役割です。
(2008年8月31日付 公明新聞)