
海上自衛隊のインド洋での給油活動を継続するための新法案として国会に提出された「補給支援活動特別措置法案」について、山口那津男・党外交安全保障調査会長に聞きました。
――補給支援特措法が国会に提出されましたが、なぜ新たに立法することになったのですか。
山口那津男・党外交安全保障調査会長 国際的なテロリズムの防止・根絶のための国際社会の取り組みの中で、現在、日本が行っている主な支援は、海上自衛隊によるインド洋上での補給活動です。しかし、この活動の基になっているテロ特措法の期限が11月1日で切れるため、活動は中断されることになります。同活動への国際社会の評価は高く、これまでも多くの国が日本政府に継続要請をしています。そこで、活動継続のために同法に代わる法律を作ることが模索されてきました。
――どのような法律になったのですか。
山口 国際社会の動きに合わせ、現行法の根拠になっているテロの防止・根絶のため国際社会に協力を求めた国連安全保障理事会決議1368とともに、その後に決議された1373(加盟国に対し、テロに対する人員獲得や武器供給、資金提供を阻止するための取り組みを要請)と、海自が支援している「不朽の自由作戦」(OEF)の海上阻止活動に対する「謝意」と「継続の要請」を盛り込んだ1776を法律の「目的」に明記し、日本の支援の位置付けを明確にしました。
そして、現行法では(1)給油、給水などの協力支援(2)捜索救助(3)被災民救援――と三つあった活動を、実績のある給油、給水活動に限定。その活動地域は、いわゆる非戦闘地域要件を満たすインド洋(ペルシャ湾を含む)およびその上空、インド洋沿岸国領域等と明示しました。
――国会承認規定が削除されましたが。
山口 今回、法律に書き込まれた活動内容は、現行法で国会承認(事後承認)の対象となっている基本計画(具体的な活動内容、期間を明記)に書かれた内容そのものです。そのため、法案審議と事後承認の対象がまったく同じものとなるので法案審議が事前承認の意味を持つことになり、手続きを重複させることとなりますので、事後承認を削除しました。
公明党は、文民統制(シビリアン・コントロール)確保の観点から、どれくらいの期間で国会がチェックできるかが大事であり、それを制度上で保証することが重要と考えています。そこで、法案の期限を1年とし、延長する場合は、1年ごとに必ず国会がチェックするようにしました。
1年ごとに国会審議を行うことは、その後1年間の活動の事前承認を審議するのと同じこととなるのです。ですから、国会承認がなくなったといっても、文民統制が弱まったわけではなく、むしろ、基本計画の事後承認を規定した現行法よりも文民統制は強化されているわけです。
――米国艦船に給油した油の転用疑惑が取りざたされていますが。
山口 転用疑惑については、米国も否定しており、明らかな証拠はありません。しかし、転用が問題となっている以上、誤解を招かない工夫が必要です。
今回の法律では、補給対象を海上阻止活動中の外国艦船に絞り込んでいます。これによって、例えば、他の任務で活動している艦船には給油されることはありません。
ただ、艦船の種類まで制限すべきとの意見もありますが、艦船の種類を法律で制限してしまえば、緊急時や災害時など万一の必要に迫られた場合に対応できなくなるので、そこは運用上で、例えば、外交文書である交換公文や実施要項を通じて明文化し、転用の疑いを招かないようにすることを考えています。
私どもは国会審議の中でしっかりと措置するように求めていきます。
――民主党の小沢一郎代表が海自の支援活動を憲法違反と主張していますが。
山口 日本国憲法は、武力の行使を禁じています。海自の支援活動は、(1)補給活動であり、武力行使ではない(2)活動が非戦闘地域であるインド洋などに限定されており、他国の武力行使と一体化することはない――ため、憲法に反することはありません。このことは国会審議の中で内閣法制局長官も何度も明言しています。
――新法に対し公明党はどう対応してきましたか。
山口 公明党は、一貫して「文民統制の確保」に配慮し、当初期限が2年だった政府案を1年にして、現行法以上の文民統制を確保することができました。これは今回の大きな成果です。また、名称についても「国民にとって分かりやすいものに」との公明党の意見が反映されました。
最後に、公明党は、テロの防止・アフガンの復興の大きな目的のため、日本の役割は大きいと考えています。日本はこれまで、1400億円に上る政府開発援助(ODA)を実施してきましたが、今後も民生支援と洋上給油活動を“車の両輪”として進める必要があります。
(2007年10月23日付 公明新聞)